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問合せに悩む会社のためのFAQサイト作成&活用ガイド (オウケイウェイブ/兼元謙任・高橋伸之)
評価:
(株)オウケイウェイヴ 兼元 謙任,高橋 伸之
翔泳社
¥ 2,100
(2008-12-16)


WEB2.0になって、「ただサイトがあるだけ」では
評価されない時代になりました。


サイト運用者としてどこを広げるか?と考えたときに、
いまホットなのがFAQ(よくある質問)です。


「教えてgoo」や「Yahoo知恵袋」などのFAQサイトが活用されるように、
自分に合った情報を求めるユーザー対応が
WEB戦略の中でも守りの要になってきました。


そんな期待にこたえるかのように発行された本書。
FAQの元祖ポータルサイトである
オウケイウェイブの代表を著者に迎えてのFAQ本です。


──────────────────────────────────────
■本書の構成


Chapter1:FAQを仕組み化するメリット
Chapter2:FAQが果たす役割
Chapter3:FAQコンテンツ策定/作成プロセス
Chapter4:FAQがもたらす副次的な効果
Chapter5:サイトタイプ別活用事例
付録  :FAQコンテンツ策定/作成シート


──────────────────────────────────────
■立ち読みのポイント


⇒89〜90ページ【 ユーザー視点のFAQ設計 】


サイトを設計する際には、どうしても開発サイドの視点が入ります。
たとえば求人サイトのコンテンツを考える際に、
「MR転職について」や「アルバイト・バイトについて」のように、
不自然な表記になっているケースが多く見受けられます。
これはSEO上キーワードを盛り込むことが有効だったりして、
開発側の事情で設計された要素です。


本書は、FAQのコンテンツライティングにおいて、
次のようなつくり方をすべきと推奨しています。


◇ユーザー視点の表現
●やりたいことで探す場合
〜したい
〜することはできますか
●困っている内容で探す場合
〜できない
〜はどうしたらよいでしょうか


言われてみれば当たり前なのですが、
言われてみないと気づかないものです。


----------------------------------------------------------------------------
⇒99ページ【 FAQの構成要素 】


サイトを初めて立ち上げる場合、
FAQの要件定義を考える必要があります。


本書では以下の通り構成要素を取り上げ、
代表的なつくり方を示しています。


◇FAQの構成要素
・件名
・質問本文
・回答本文
・参考ページURL
・アンケート機能
・関連する項目


----------------------------------------------------------------------------
⇒152ページ【 FAQの機能 】


WEB以前にリアルの世界でFAQの要素は重視されてきました。
お客様の声としてコールセンターで吸い上げ、
商品開発・営業・その他の用途に活かされてきました。


本書ではWEB上のFAQの機能を以下のように
まとめています。


◇FAQの機能
1)インフォメーション
2)テクニカルサポート
3)トラブルシューティング


──────────────────────────────────────
それでは5点満点での評価です。


タイトル(3)★★★


FAQについて単独でまとめた本自体が少ないというか
ほとんど見かけないので、タイトルに「FAQ」ともってくるだけでも
インパクト十分です。
また、タイトルの枕に「問合せに悩む会社のための」と付け、
ターゲットであるサイト担当者にとってのメリットをしっかりと提示しています。
基本原則に従ったお手本のようなタイトルですね。
装丁もタイトル文字を囲むようにでっかくQで括られて、
とても目立つデザインです。


ナレッジ(1)★


肝心のナレッジは無いに等しいです。
せっかく登場する活用事例も守秘義務のせいかサイト名は伏せられていて
なんだか説得力を欠きます。


スキーム(1)★


序盤で提示されるメリット(=問合せが減る)はほぼ周知の事実で、
少しでもサイト業務に関わっていれば何をいまさらという感じがします。
Chapter5(サイトタイプ別活用事例)を最初に置いて、
そこからメリットをまとめ直す方がよりきれいな構成になりそうです。
また、本書の肝であるChapter3が長いため、
制作と運用にパート分けするともっと読みやすかったのではという印象です。


総合(1)★


2千円という値段を考えると、
本当にこの本が必要な立場に当てはまったとしてもかなり迷った方がいい内容です。
損はしないものの本棚で"魔除け"に終わってしまう可能性大です。

 

| ネットビジネス(業界・起業家・ウェブマーケティング) | 22:10 | comments(0) | - |pookmark
宣伝費をネット広報にまわせ (時事通信/湯川鶴章・ニューズツーユー/神原弥奈子・ネットイヤーグループ/石黒不二代ほか)

評価:
濱田 逸郎,神原 弥奈子,鈴村 賢治,石黒 不二代,湯川 鶴章
時事通信出版局
¥ 1,785
(2008-12-24)
 


いわゆるポータルサイトでは、運営費を賄うために広告費が必要です。
旅行サイトなら旅行会社、不動産サイトなら不動産会社というように
営業の方が頑張る世界です。


このBtoBサイトの広告営業で何が一番難しいかと言われたら、
おそらくお客さんから口をついて出る「で、ネットって効果あるの?」
という意識を変えていくことです。


効果が無いものにカネは払えないという経営の視点はもちろん大事。
しかし、私たちはまだまだWEBの魅力をお客さんにアピール
できていないのでは?とふと反省してしまいます。


ではどのように伝えればお客さんの理解が進むのか?
そのヒントが詰まった1冊をご紹介しましょう。


章ごとに執筆者が違うため良し悪しはありますが、
営業・営業企画・マーケティング・広報・宣伝の方はいっそ買っちゃってください(^ ^;)


──────────────────────────────────────
■本書の構成


第1章:オンラインメディアが広報業務に与えた影響【総論】(濱田逸郎)
第2章:ニュースリリースを軸としたネットPRの概念(神原弥奈子)
第3章:テキストマイニングのWEBへの役立て方(鈴村賢治)
第4章:オンラインメディアがマーケティングにもたらした変容(石黒不二代)
第5章:広報担当者の広がる役割【総論】(湯川鶴章)


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■立ち読みのポイント


⇒59ページ【 ケンコーコムのニュースリリースの工夫 】神原さん


経営者の方の中には売り上げに直結しない業務を嫌う方もいます。
だって自分が必死で営業をしているのに、
帰ってきたら部下が机でパソコンとにらっめこ。
ましてやニュースリリースなどせこせこ書いている場合か!と言いたくなるでしょう。


こうした方にはWEB上でニュースリリースを発信する意味を
きっちりと伝えなければいけませんよね。
ここでは健康商品のECサイトであるケンコーコムの広報を事例に、
ニュースリリースの工夫の仕方が取り上げられています。


◇ケンコーコムのニュースリリースの工夫
・月間売れ筋ランキングを発表
 →商品ページへのリンクを設置:誘導効果+被リンク効果


WEBは更新が命!ということで、
ニュースリリースの発信によって更新機会を得るだけでなく、
商品ページへの誘導によるコンバージョン改善や
内部リンクによるページ増、場合によっては外部リンクを得ることで
SEO上非常に意味があることだとわかります。


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⇒60〜65ページ【 ニュースリリースを書く切り口 】神原さん


では、ランキング以外にはどんなニュースリリースの切り口があるのでしょうか。
神原さんが提示する切り口を以下にまとめました。
いずれもネットという媒体と相性がよいことがポイントです。


◇ニュースリリースを書く切り口
1)商品・サービス
  新商品・新サービスの発表
  毎月の販売推移
  導入事例
  機能追加・料金変更等
2)企業動向・業績・IR
  IR情報
3)調査・報告
  自主調査
  ランキング
4)技術・開発
  開発者ブログ
5)告知・募集
  セミナー
6)人事
  採用イベント
  人事ブログ


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⇒45・53・67ページ【 マスメディアとオンラインメディアの違い 】神原さん


既存のマスメディアとオンラインメディアの違いを説明する際、
情報がWEB上にストックされていくことがポイントになりますが、
ここの箇所ではオンラインメディアの特徴を以下のように伝えています。


◇マスメディアとオンラインメディアの違い


●マスメディア(プレスリリース)
 フロー情報性→一過性の瞬発力
 メディアにとって有益な情報に制限
 発行部数や視聴者数といったあいまいな数値が基準


●オンラインメディア(ニュースリリース)
 ストック情報性→長期的に認知機会が増大していく
 ステークホルダーにとって有益な情報を発信→伝播性が高い
 測定可能な指標がある→新機軸の指標の総合的に見ていくべき


---------------------------------------------------------------------------
⇒66ページ【 ネットPRの効果測定指標 】神原さん


前項でネットの効果は多面的・総合的に見ていく必要があると提示されましたが、
その指標はたとえば以下のように示されています。


◇ネットPRの効果測定指標
・検索結果のインデックス数
・検索結果の表示順位と関連サイトの表示数
・自社サイトのページビュー(アクセス数)
・自社サイトを訪れた人数(ユニークユーザー数)
・問合せ数(資料請求数・コンバージョン数・売上)
・各種サイトでのランキング順位(週刊誌・専門誌・格付けサイト)


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⇒81ページ【 ネットPRの効果測定における価値観 】神原さん


さらに、指標は短期的なものと長期的なものに分かれ、
継続して使うことで見えてくるということです。


◇ネットPRの効果測定における価値観
●短期的な指標:見える効果
・その時々の指標(PV・UU・CVS)
●長期的な指標:見えない効果
・累積する指標(インデックス数・被リンク数・ブログ引用数)
・情報を発信しない、もしくは中断したときには新しいマーケティングデータが入ってこないリスクがある


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⇒128〜129ページ【 マーケティングプロセスが変容したことの意味 】石黒さん


購買プロセスを説明する際によく使われるのが、
「AIDMAからAISASになりました」という公式です。
消費者サイドの視点で捉えると、「ふ〜ん、そうだよね」で終わってしまいそうですが、
企業サイドから捉えると、実は以下のような意味があると解説されています。


◇マーケティングプロセスが変容したことの意味
●AIDMA
 認知段階に莫大な投資
 興味関心段階以降は顧客接点が限定的なため移行しにくかった
●AISAS
 興味・検索・購入・共有の過程が同じネット上で短時間に収束
 個人が検索・比較・共有といった行動を取る


すなわち、私たちがWEBを活かすのは、
興味関心段階以降にいかに迫るかということと同義です。
ここを理解していないと、あるいはお客様に理解してもらわないと、
ただWEBという新しくて安上がりなメディアが出てきたという認識になってしまいます。


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⇒130〜131ページ【 顧客接点の多様化 】石黒さん


さらに、オンラインメディアは企業サイト一発ではなくて、
様々な種類のメディアを使い分けることになります。
各メディアにどんな特徴があるのか、
サイトブランディングに長けたネットイヤーグループでは
ブランドコントロールと消費者への影響を軸に取って、以下の通りまとめています。


◇顧客接点の多様化
                      ブランドコントロール 消費者への影響
自社サイト                 強                       小
メディア一般(※)        中                       中
CGM(ブログ・SNS)     弱                       大


※メディア一般:マス4媒体、情報サイト、比較サイト、検索行動など
※少し意訳していますので、気になる方は直接本を手にとってみてください。
  実際にはもっと精緻なマッピングで紹介されています♪


──────────────────────────────────────
それでは5点満点での評価です。


タイトル(4)★★★★


「(宣伝費をネット広報に)まわせ」は、やや挑発的な表現ですが、
WEBサイト戦略の重要性を理解したい/周りに理解させたい思っている人には、
「ネット広報」の表現がぴたっと刺さります。
この表現は本当にうまいなあと思っていて、
通常この手の本のタイトルとして使われる「WEBマーケティング」や「PR/IR戦略」だと、
どうしても関係者/担当者だけに間口を狭めてしまいます。
「ネット広報」とわかりやすく表現することで、
メインターゲットの広報担当者だけでなく、経営者・サイトマスターをはじめ、
私のような営業(「宣伝費」を「ネット」に奪うという側面で)メインの人間にも
取っ掛かりを与えてくれるタイトルです。


ナレッジ(4)★★★★


インターネットを黎明期から見守り続けてきた方たちの共著だけに、
オンラインメディアがマーケティングに与えた影響・変化について
とても含蓄のある言葉で書かれています。
個人的には第3章のテキストマイニングの解説・活かし方も勉強になりました。
WEB(=オンラインビジネス)って情報が溢れているわりに
なかなか体系化されたナレッジに出会えないので、
本書の価値はすごく貴重だと思います。


スキーム(1)★


各章読みきりになっていて、それぞれ専門的な視点で語られます。
個々の章での話の組み立ては見事なのですが、
あくまで"共著"なので、本書全体としての一体感には欠けます。
総論部分がほんとに総論に留まってしまっている点が残念。
そこが「こんなナレッジありまっせ集」から一歩抜け出ない印象を受ける要因になっています。


総合(3)★★★


広報担当者はもちろん、WEBマーケティングに携わるすべての人が
いま読んでおいて損はない内容です。
書店では常にいい本はないかチェックしていますが、
自分も久しぶりにネット分野の本を読みました。


 

| ネットビジネス(業界・起業家・ウェブマーケティング) | 09:10 | comments(0) | - |pookmark
ヒット率が上がるホームページの作り方 (ベンチャーソリューション)
WEBを仕事にすることの魅力―それは成果を形にできること。

開発の人なら自分たちがつくったコンテンツがいろんな人に見てもらえますし、
企画の人ならSEOの結果を掲載順位で示すことができますし、
営業の人なら顧客数やユーザー数を誇ることができます。
私は上記のすべてに関わっているので、かなり幸せな立場にあるのかもしれません雪

逆にWEBに関わっていて一番難しいのは、
各分野でどうすればよいかを知っている人が少ないことです。
たとえばSEOに関して、
PCやネットワークに強いSEの人でも、??という人も多いですし、
専門会社でもオーバーチュアは強いけどアドワーズはちょっと‥、
という例もあります。

経験則が強い世界ですが、スタートラインに立つためには、
用語やネットの概念をひと通り知る必要があり、
そこはやはり本書のようなWEB本の出番です。
────────────────────────────────────────
■本書の構成
Chapter1:SEOの概念、検索エンジンの仕組み、キーワード広告の基礎知識
Chapter2:コンテンツの企画方法
Chapter3:連絡系コンテンツの整備方法
(サイトマップ・プライバシーポリシー・FAQ・問合せフォーム)
Chapter4:WEBライティング時の注意事項
Chapter5:ナビゲーションの配置、ビジュアルデータの使い方
Chapter6:HTML、コーディングの方法
Chapter7:サーバー、セキュリティー、ブラウザ、ディレクトリ登録の基礎知識
────────────────────────────────────────
■立ち読みのポイント

分量は多く感じますが、関心さえ高ければ1日で読めます。
構成としては、見出しの内容を本文で解説し→本文の内容をポイントでまとめ→ポイントの内容をサイト事例で紹介する、という具合です。
読者に伝えたいポイントが絞られているので、非常に読みやすいです。
立ち読みではなく一気に買うことをおすすめします。

────────────────────────────────────────
それでは5点満点での評価です。

タイトル(3)★★★
いわゆる総合型のホームページ制作本です。
この手の本の問題点はただひとつ。―著者の得意領域に引きづられるところです。
プログラムについてやたら詳しかったり、
サーバーやドメインについてやたら詳しかったり‥バランスが悪いことがしばしばあります。
手に取るのはネット初心者ですから、
ターゲットに合わせて必要な情報を取捨選択する判断力が編著者に求められます。
本書タイトルの「ヒット率」って何だ?という見方もできますが、
初心者向けであることを考えると、
このようなシンプルなタイトルの方が案外響くのかもしれません。

ナレッジ(3)★★★
それぞれの分野において、膝のあたりまで浸かることができる内容なので丁度いい構成です。
スタイルは見開き1テーマで、テーマも必要なものだけに絞られています。
個人的には、Chapter1:SEOの概念&Chapter3:連絡系コンテンツの整備、
がかなりおすすめです。
SEOは当然この本の内容で事足りるものではありませんが、
専門家の本を読むと、読み終わった頃に、結局何だっけ?みたいなことがまま起こり得ます。
これくらいシンプルにまとめられるとSEOの概念を理解するにはぴったりです。
また、連絡系コンテンツの組み立て方の事例は類書よりも充実しています。

スキーム(4)★★★★
WEBに関わろうとすると、どれか一つの担当で済むということはなくなります。
営業でも技術系の知識が必要になりますし、
逆に技術や企画の人が営業に出ている姿もよく見かけます。
本書では各項目で多様なサイトの事例を引き合いに内容が整理されており、
ビジュアルも含めたポイントのまとめ方がとても親切です。
惜しむらくはChapter8「Dreamweaverで問合せフォームをつくろう」。
このエントリー中にある、上記「本書の構成」からはカットしました。
読者には、知識があればいいレベルと実際にできなければいけないレベルとがあります。
本書の内容が「知識があればいいレベル」を重点的にカバーしているのに対して、
Chapter8のみ「実際にできなければいけないレベル」の人に向けた内容になっているので、
読んでいて非常に違和感を覚えました。

総合(3)★★★
全体のバランスはとてもよく、★4にしてもいいくらいです。
総合型のWEB制作導入本としては光るものがあります。
もっと知識が浅かった頃に出会っていれば‥おばけ


JUGEMテーマ:ビジネス


| ネットビジネス(業界・起業家・ウェブマーケティング) | 23:09 | comments(2) | - |pookmark
トンデモWeb業界 (小田原貴樹)
評価:
小田原 貴樹
ソフトバンククリエイティブ
¥ 1,575
(2006-06-23)
「サイトをつくろう!」
勢いよく立ち上がったプロジェクト。
次のひとことは、「いくらぐらいかかるのだろう‥」ということ。
「じゃ、次回までに調べてといて!」で会議終了。

会社がこれまで商用サイトを運営していない場合、
「どこに頼めばいいんだ?」ということになります。
実は上のひとコマは私の例で、
会議の直後から当ても無く制作会社を探しました。

調べてみると、相場感がまるで無い!!
大手は「3千万〜5千万くらいですね」って2千万分の開きは何!?みたいなことになります。
私がよく聞かれたのは、「ご予算はどれくらいですか?それに合わせます」ということ。
普段は自分が営業をかける立場なので、非常に居心地の悪い思いをしました。
結局、運良く細かく見積もりを出してくれる制作会社と組み、
合理的な価格交渉を経て納得のいく予算でスタートできることになりました。

サイトの立ち上げにあたっては、
「これでもか」というくらいいろいろな知識が必要になります。
本でもかなり吸収できますが、多くは経験則による世界です。

たとえばリスティング広告の出稿にあたって、
・入金からどれくらいで開始できるか
・審査のポイントはどこか(スポンサードサーチ)
・キーワードをどう収集するか
・サイトの品質が順位に与える影響はどれくらいか
これらはおそらく実際に運用してみないと掴めてきません。
本に書かれてある「規定」と「実際」で差異が見られます。

残念ながらこの経験則を一般の人は学ぶことができません。
オープン情報は話半分です。
このあたりをプログラマの観点からうまくまとめたのが本書です。
本当に今すぐにサイトを立ち上げなければいけない人は、
サーバの知識やセキュリティの知識よりも、ある種本書の内容の方が重要です。
────────────────────────────────────────
■本書の構成
第1章:WEB業界のプレーヤー(業種・サイトタイプ・主要企業)
第2章:WEBサイト制作の過程
第3章:プログラマの仕事
第4章:IT起業の実際
第5章:WEB業界の展望
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■立ち読みのポイント

⇒77ページ【サイト制作費の相場】
冒頭で私が困ってしまった相場感について、しっかりとした記述があります。
気をつけたいのは著者が指摘するように、相手先の制作体制。
大手メーカー系列で販売・コンサルを得意としていて、
実際には制作を他所に投げる会社が多くあります。
私が仕事をしていて常に大事だと感じるのは、「プログラマ・デザイナー」との近さ。
連絡体制もそうですし、物理的にも近いに越したことはありません。
大手に投げてしまうと、
窓口担当者を介してのやり取りになるため、大きなコミュニケーションロスが発生します。
(仕事を丸投げできる楽さはあると思います‥とても怖いことですけど)
その意味でも、小規模で目的とするサイトタイプの制作実績を持つ会社に預けることが
ベストな選択肢だと思います。

⇒146ページ【プログラマの質の見分け方】
さて、小規模の会社に依頼する場合、「彼らで大丈夫だろうか?」という疑念は常に湧きます。
実績を見れば安心はしても、「実績の中身」までは当事者以外にわかりません。
そこでプログラマの技術力を判断する要素として、
これから自分が預ける仕事の難易度に応じた見分け方が紹介されています。
デザイナー兼プログラマでマーケティングにも明るかったら最高ですね(夢のような)。

────────────────────────────────────────
WEBサイトをつくっていてたいへんなことは、
コンテンツ企画でもインターフェース設計でも営業でもSEOでもなく、
人材タイプの調整かもしれません。
本書ではプログラマVSデザイナーで書かれていますが、
少し広げるとそれぞれが大事にしているものは以下のようになります。
・営業⇒納期、管理画面の出来、サイトコンセプト、文字情報の正確性、広告価値
・デザイナー⇒ユーザーに表示する画面の出来、色、バグの影響によるデザインの崩れ
・プラグラマ⇒仕様書との整合性、ユーザビリティー、デバックの期間
・SEO業者⇒検索エンジン対策、キーワード選定、被リンク施策
・経営・担当役員⇒検索結果順位、サイト指標(PV・CVR)、費用(制作費・広告費)
こうして並べてみると、ディレクターって因果な立場ですね〜。
営業チームは顧客を背負っている=納期は絶対!
制作チームは安全を背負っている=品質は絶対!
ディレクターはすべてを背負いますから、5・6枚舌っす。
でも本書にあるように、「こうして妥協のない成果物が出来上がってくる」ことが
WEBのいいところだと思います。成果を全員で見ることができるので。
────────────────────────────────────────
それでは5点満点での評価です。

タイトル(3)★★★
書店でWEB系のコーナーに行くと、けっこう硬めの本が並んでいるので、
タイトルからしてけっこうインパクトがあります。
表紙がおちゃめなイラストで書かれていて、
「笑えそう、おもしろそう」と思う反面、
「単なる実話集なのでは?」という懸念もよぎります。
実際には文章こそ著者の人柄でおもしろおかしく書かれていますが、
内容はごくごくまとも。タイトルの良し悪しは判断し難いです。

ナレッジ(3)★★★
プログラマの人は笑いつつ読むとして、
むしろ営業系の人におすすめの本です。
プログラマの人と接していると、
軍隊で訓練されてきたかのように原理原則に則ろうとします。
好む好まないに関わらず、朝令暮改の世界で生きている営業サイドから見ると
どうしても理解しづらい信条なのですが、それだけこだわりが強い部分であることを、
共に仕事をしていく上で理解しておく必要があります。
逆に本書を読むと、なんとなく合点がいきうまく折り合えます。

スキーム(3)★★★
章同士のつながりが有機的かは怪しいですが、
とにかくストレスなくWEB系の本を読めることはありがたいことです。
人の性格や趣向を主に業界を俯瞰した本はあまりないように感じますから、
これからWEBを担当される方はかなり参考になるはずです。

総合(3)★★★
私は営業兼企画の立場でWEB制作・運営に携わっています。
おそらく開発サイドであるプログラマからは、
「今度はここ変えやがった」、「どうしてそんなに先を急ぐのか」
と疑問に思われてるんだろうな〜と思います。
プロジェクトは社内でほぼ私が専任の体制で動いているのですが、
実は外部に強力なパートナーがいることをいま一度感謝したい気持ちになりました。


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| ネットビジネス(業界・起業家・ウェブマーケティング) | 19:10 | comments(0) | - |pookmark
「ユーザー参加型サイトにおけるクチコミパワーの活用事例〜旅行のクチコミサイト・フォートラベルのケース〜」セミナー (フォートラベル/請川貴之)
WEBサイト制作で悩ましいこと、
それは「曖昧さを許さない」構成になっていることです。
たとえば、紙のメディアであれば、
雑誌『Number』のように活字雑誌も読むことができます。
でも、WEBで同じような文字びっしりの表現はできません。

ポータルサイトを見る時に、ひとつおもしろい見方があります。
「日本地図」を見ることです。
多くのサイトではトップページに検索用の地図を置かれています。
これで何がわかるか?

運営者側になってみるとわかるのですが、「日本海の異様なまで空き」が怖いのです。
そのため、各社いろいろな工夫をしています。
日本列島を斜めに引き伸ばしてみたり、
沖縄を日本海ゾーンにピックアップしてみたり、北海道を日本海ゾーンに切り分けてみたり。
とにかくそれほどまでに「日本海」は強敵です。
(私自身は適当な文字情報を置くことが一番無難だとという結論に達しています)

フォートラベルを初めて見た時に、
地図(日本/世界)が見にくいことが気にかかりました。
よく見ると後ろに写真が敷かれています。
しかもphoto by XXXXのように、どうやらユーザーが撮った写真を載せているのです。
私は旅行にまったく興味が無い人間ですが、
これはユーザーが喜ぶだろうなと直感的にわかりました。
────────────────────────────────────────
ポータルサイトは、差別化を図ることが難しいサイトタイプのひとつです。
検索機能や会員システムはほぼ同じ。機能面では差を出せません。
自然と、
・顧客数で勝負するか(営業力)
・内容 で勝負するか(企画力)
・宣伝量で勝負するか(宣伝力)
というところで各社のカラーが決まってきます。
フォートラベル最大の強みは、企画力にあると思います。
上記の要素のうち、最もキャッチアップされやすい部類に入る強みですが、
「見せ方」が非常にうまい。
旅行記というブログ機能+コミュニティ機能をメインにしていて、
渡航マップや項目別ランキング、Q&A掲示板というように、
すべてのコンテンツが個人に紐づいており、「つながっている」感を演出しています。
旅行にさえ興味があれば(^^;
おそらく自然と続けたくなります。
講演でもこの部分に関しては、
・人に自慢したくなる仕組み
・人に見られていることを感じる仕組み
を意識してつくっていることが語られました。
────────────────────────────────────────
■講演の要旨
【会社概要】
・03年10月設立
・05年1月カカクコムグループへ
・07年8月ヤフーと資本提携
・従業員数32名
【事業概要】
・ユーザー(旅行者)とサプライヤー(旅行業者)でつくる旅行ガイド
・旅行における消費チェーン全体をカバーする
・添乗員時代に、旅行者が「しゃべる場」に飢えていたことにヒントを得た
【サイト実績】
・2004/01/01〜開始
・月間PV(3137万)
・月間UU(221万)
【収益モデル】
・タイアップ広告(企業との共同企画)
・バナー広告
・アフィリエイト広告(予約サイトへの誘導)
・クリック課金広告
・リスティング広告(ツアー検索)
【成功要因】
(1)ネット広告への理解が進んだ
(2)インターネット/旅行への知識・経験があった
────────────────────────────────────────
それでは5点満点での評価です。

内容(3)★★★
有報のように表だった情報が出ていない会社なので、
ビジネスモデルを把握するにはこういう機会しかありません。
私自身、今も壁にぶち当たっているのですが、
サイト運営=広告収入ということになってくるので、
初速をどうつけるべきかは非常に難題です。
フォートラベルでは早い時期からコンセプトを明確にし、
広告が育ちやすいコンテンツ開発を心がけたことが今につながっています。

講師(3)★★★
請川さん自身がすごい話し手かというと、
必ずしもそんなオーラは出ていないのですが、
とても場慣れした話し方をされる人という印象を持ちました。
準備がしっかりしていたことが成功要因だ思います。
自分たちの思いを述べる⇒サイトでいうとどの部分か画面を見せるというように、
あらかじめ解説するページが用意されていて、まごつきが無い話のはこびでした。

資料(2)★★
話にムダが無かったこと、スライドでしっかり情報が整理されていたこと、
このことを考えれば資料に問題は無いです。
ただ、サイトのコンセプトのみの掲載だったので、
「もっと媒体資料に近いものがあってもよかったな〜」と思います。

時間(2)★★
講演自体はムダがなかったのですが、
参加者からの質問タイムが相当にムダでした。
・1人の人からの質問数が多かったこと
・なおかつ回答に対して掘り下げてしまうこと
この2点がとても気にかかりました。
セミナーは参加者も含めて全員でつくっていくものだとあらためて感じました。

費用(2)★★
参加費5,000円は決して高くありません。
ただ、質問タイムの内容を考えると、もっと講師の話を聞きたかった!のが本音です。
私が傾倒している「徹底してユーザーが参加したくなる仕掛け」の数々について、
ひと通りの説明は聞けたのですが、もっとゆっくり聞きたかった‥

総合(2)★★
自分自身がいま一番注目しているサイトであり、
かつて無いほど期待値が高かったセミナーなので、
必要以上に情報を求めてしまったのかもしれません。
「コンテンツ面」や「起業面」についてはもっともっと知りたい!!
そんな期待含みの★2つです。


JUGEMテーマ:ビジネス


| ネットビジネス(業界・起業家・ウェブマーケティング) | 00:34 | comments(0) | - |pookmark
起業家2.0 (佐々木俊尚)
あとがきを読んでいてびっくり!
本書は「sabra」(小学館から出てるグラビア誌)連載の原稿だったんですね。
若い時たまに買ってました‥
硬派な本書からはとても想像がつかないほど軟派な雑誌です。

なぜこの連載をサブラに載せようと思ったのかまったく理解できませんが、
いずれにしても今をときめく起業家たちのストーリーを
このタイミングで読めるのはありがたいことです。

本書にあるネット第二世代(楽天・ライブドア・サイバーエージェント)
の成功をまとめた本が一服し、
ニーズとしてはそろそろ‥といったところでした。
本書に登場してくるサービスの中で、本当に誰もが知っているサービスは、
はてなとmixiくらいなのではないでしょうか。

ネットに触れている人からすると、「それはないだろ」と思うかもしれませんが、
第二世代の巨大化・総合化に対して第三世代の特徴は、専門化・細分化なので、
自ずと知名度は限られてくることが推測されます。

ECにせよポータルにせよコミュニティにせよ、実績がなければカネが回りません。
第三世代の課題としては、「いかに知名度をあげるか」に尽きます。
今後、広報やプロモーションの役割はますます重要になりそうです。

以前、三井不動産の商業施設戦略の講演を書きましたが、
講師の安達覚さんがおっしゃっていたことには、
「商業施設は建てるだけではだめ、人を呼び込む装置が必要」ということでした。

ネットでもまったく同じことが言えます。
コンテンツの中身だけではだめ、SEOだけでもだめ、特別な営業力だけでもだめ。
サイトの認知度を向上させる優れた仕掛けが必要です。

本書に登場するサイトは、
ユーザーに喜ばれる仕掛けを考え抜いてサービス化したコンテンツを持っています。
逆にユーザーの使い勝手を無視したサイトは、
早晩ネットの洪水の中に消えていくようになりました。
────────────────────────────────────────
■本書の構成
・プロローグ
・エニグモ
・mixi
・アブラハム・グループ・ホールディングス
・ゼロスタートコミュニケーションズ
・チームラボ
・ルーク19
・paperboy&co.
・フォートラベル
・はてな
・あとがき
ひとつひとつの話の構成は概ね以下のようになっています。
1)起業に至る転換点
2)起業家本人の生い立ち(学生時代/会社員時代)
3)主力ビジネスのアイデアを形にするまでの試行錯誤
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■立ち読みのポイント

フォートラベルをご存知でしょうか。
私はこれほどすごいサイトを見たことがありません。
サイトを始めて見た時のインパクトは衝撃的でした。

その名の通り同サイトは、旅行SNSサイトです。
今やSNSはごまんとあります。
その中にはインフラを提供しているだけで終わってしまっているものが数多くあります。
情報が整理されていないためユーザーの無法地帯と化してしまう‥
決して規模だけでは評価できません。

このサイトの成功要因として、
徹底してユーザーが参加したくなる仕掛けを用意したことが挙げられます。
SNSの課題は、参加した途端に「多くの中の1人」になってしまうことにあります。
私もこれが怖くて参加できません。

しかしフォートラベルでは、
メインコンテンツである旅行記自体が個人のアイデンティティーを保障しています。
さらに、参加者同士の「つながり」を促進するために、
渡航マップや項目別サイト内ランキング、Q&A掲示板といったシステムを用意し、
旅行に行くだけではなく、その前後の楽しみまで提供することに成功しています。
サイトのためにつくられたサイトではなく、
ユーザーのためにつくられたサイトなのだとわかります。

広告収入も、大手航空会社、旅行会社からの出稿を得ており万全です。
このあたりはサイトのテーマからすれば極めて順当な流れですが、
面白いのは広告枠の呼び方。
カタログスタンドと称することによって、
旅行業界特有の味付けを盛り込んでいます。

そんなわけで私が入れ込んでいるフォートラベルの回のレビューを書きます。

⇒154ページ【ビジネスモデル×コンテンツ】
発想の原点は、旅行代理店が旅行の中の「旅行」のプロセスしか満たしていなかったこと。
楽天初期のメンバーとして、楽天トラベルの立ち上げに関わった津田さんが、
需要喚起や旅行準備、情報共有までを手がけたら立派なサイトになる、
と考えたことがきっかけでした。
このモデルが生きているからこそ、首尾一貫したサイトができたのだと思います。
もうひとつ津田さんの生き方に教わることは、
私たちの職業人生が1回で終わるものではないということ。
フォートラベルは、津田さんがたまたま楽天トラベルに関わらなかったら、
出てこなかった発想だと思います。
少なくとも今のタイミングでこの規模になっていたことは考えにくい。
生涯同じ会社に就社するのも人生ですが、
転職や起業も私たちが持つ立派なオプションだと気づかされます。

⇒157ページ【最初のオフィス=マック】
渋谷駅前のマックで事務所家賃を節約したエピソードは痛快です。
私は企画に移った今も(なぜか)現役の営業なので、
外出先からテレアポを行うことがけっこうあります。
こうなると困るのが電話をかける場所。
外では相手の情報を聞き取るメモを取るのに適しません。
デパートの休憩スペースでは有線や店内アナウンスがけっこう入ってしまいます。
ファミレスは店員の視線との戦いがあったり、
待っている客がいるとマナー違反になってしまいます。
いろいろと試した結果、オープンスタイルのカフェレストランが最適だとわかりました。
空間が広いため通話内容を遠慮しなくて済みますし、
席から離れてもぎりぎり席が見える位置で電話をかけることができます。
誰かテレアポカフェをつくってください!!
話を元に戻すと、津田さんらが最初のオフィスにマックを選んだのは、
ヤフーBBの無線LAN環境があるからということでした。
創業期は案外事務所を構えるよりも、
人数に応じて外で企画する方が濃密的かもしれません。

⇒161ページ【ナナロク世代の特徴=オンリーワン】
あとがきにあるように、
著者は1967年生まれの世代が中心となるネット第三世代の特徴は、
肥大化して総合企業化していく第二世代に対して、
サービスの運用をユーザーと共に改善し続けて成長する点にあるとしています。
────────────────────────────────────────
それでは5点満点での評価です。

タイトル(3)★★★
ご存知の通り、私があまり好きではないタイトルの付け方です。
あまりにもストレートすぎる。
でも、★3にしました。
理由は、私自身がこのタイトルを見て本を手に取ったからです。
「起業家の話には興味がある。2.0ということはウェブ系の起業家の話かな」
という推測が働くので、ベタゆえにわかりやすいことが利点です。
書店はWEB2.0の本でごったがえしています。
「2.0」はいまさら感のあるフレーズですが、
前半に「起業家」と付けたことで、従来のIT起業家本とは一線を画していることがわかります。
ネットビジネスを追っている人をすぐに引きつけることでしょう。

ナレッジ(3)★★★
この本をきっかけに本書に出てくるサービスを知る人が多いことと思います。
どんなところにビジネスチャンスがあるのかは本文でも出てきますが、
サイトコンテンツやビジネスモデルまでは自分なりに調べてみないとわかりません。
「人」をきっかけに企業を深く知ることができる点で、
本書はナレッジを研究するためのものではなく、
実際のサービスを認知するためのものと考えた方が良さそうです。

スキーム(4)★★★★
とにかく字が小さいです。
タイトルで少し気になって手にとって、2秒で「これ無いわ」と思いたくなります。
数えてみたら1行55字ありました。これが1ページ20行も続くのです。小説かと。
とても読む気はしなかったのですが、
本に出ているいくつかの企業は気になっていたので、悩んだ末に買いました。
じっくり読んでみると、思いのほか読みやすいです。
ここに著者の類まれな運筆力が発揮されています。
「本書の構成」で記したように、
飽きないように工夫された構成、
起業家本人と周りの人に焦点を当てたドキュメント、
補足としての社会背景の記述が適度に折り込まれ、
読んでいてストレスをまったく感じさせません。
1話15ページ完結になっており、もっと読みたいと思った頃に終わります。
だから長さとしてちょうどいい。
このページ数は黄金率なのではないでしょうか。
狙ってフォントサイズを下げた!?
もともとが雑誌の連載なので、きちっと字数内で話が完結しているところが気持ちいいです。
そう、私のブログと真逆‥

総合(3)★★★
買って損はないです。完全に読み物として成立している。
マーケティング、企画、技術者、営業、どの立場からも見ても読めます。
この著者の運筆力なら、続編期待です!
それにしても水着に釘付けなsabra読者はこの連載を読まないと思うんだけどなあ‥
本当に男性誌のつくりはナゾです。


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| ネットビジネス(業界・起業家・ウェブマーケティング) | 00:22 | comments(0) | - |pookmark
行動ターゲティング広告―ページビュー神話の終焉― (マイクロアド/渡辺健太郎)
評価:
渡辺 健太郎
インプレスジャパン
¥ 1,575
(2007-12-01)
ネットメディアを立ち上げる際に最も大事なこと。
―広告をどう入れるか。
ビジネスモデルに直結するため、
配置・サイズ・枠数はあらかじめよく練らなければいけません。
ここでサイトの目標収入が決まります。

ところが実際に広告を当てはめてみると、
コンテンツとのバランスが実に難しい!!
ネットメディアは曖昧さを嫌います。
紙メディアで許されているわずかな隙間も許してくれません。
たとえばユニクロのちらしを思い出してください。
正面にカシミアのセーターがどーんと来て、
楽しそうな家族の写真が横に並んでたりします。
週末に値下がりする素敵な商品群は端と裏面に整然と並んでいます。
しかしネットではユーザーの気を引くために大きな写真を使おうとか、
記事がページ内に入りきらないからフォントを思いきり下げようといった調整は利きません。
あくまでも全体のバランスを重視します。

そこであらためて広告の配置を考えてみると、
意外と入れることができる箇所が限られてくるのです。
いろいろなサイトを見ていて、
もっと広告を入れればいいのにと思うことはありますが、
実際問題、全体のバランスから見て、入れることのできる数が限られるのでしょう。
そこでリスティング広告の登場です。
少ないスペースを有効活用し、
かつユーザーの関心と矛盾しないモデルは衝撃的でした。

私が自社のサイトを立ち上げる際、
リスティング広告のモデルを応用する広告モデルをつくりました。
直接キーワードに対してではありませんが、
ユーザーの関心に応じて表示される広告枠を設けたのです。
それまで広告の配置といえば、TOPページありきで、
「売上を立てたいからクライアントの管理画面にも表示する」という展開を考えていました。
しかし、「どこにでも広告を」という姿勢を取ると、
ユーザーやクライアントにとって使い勝手が下がってしまいます。
特に管理画面は集中して作業をする場所なので、
広告を導入することには迷いがありました。
そんな時にサイトリスティングを模した広告の出し方を思いつき、
一気に広告の枠数が広がったのです。

広告は悪くすると、コンテンツの価値を下げるだけでなく、
ユーザーの作業性を低下させる要因にもなります。
たとえばこのブログでは、ブログパーツの導入をしていません。
そのわけは、「ユーザーの気が散る」からです。
同じ画面内で何か光っていたり動いていたりすると、
どうしてもそっちに気が散ってしまいます。
仮にコンテンツに集中しようとしても、
「広告を見まい」と決め込んだ時点で広告をかなり意識してしまっています。
その意味では動く絵文字も諸刃の剣のようなところがあります。
このあたりは「読みもの」・「作業もの」コンテンツの管理者は
じゅうぶんに配慮すべき点です。
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■本書の構成
第1章:行動ターゲティング広告の導入企業の事例
第2章:行動ターゲティング広告の市場性
・行動ターゲティング広告は、行動事実を期間で捉える究極のセグメント手法
・コンテンツ連動型⇒掲載面に紐づいておりユーザー行動とは関係が無い
・サイトリスティング⇒瞬間的である
第3章:行動ターゲティング3つの手法
【ビヘイビアターゲティング】
・ユーザーが閲覧したコンテンツや検索キーワードを蓄積しセグメント化する
・ノンセグメントのサイトを見ている時にセグメントに基づく広告を配信する
【リターゲティング】
・ユーザーが訪れたり商品を購入したサイト履歴を蓄積する
・ユーザーが同じ広告ネットワークに属するサイトを見た時に広告を配信する
【検索リターゲティング】
・ユーザーが入力した検索キーワード履歴を蓄積する
・ユーザーが同じ広告ネットワークに属するサイトを見た時に広告を配信する
第4章:新しいネット広告効果指標の在り方
・今後のサイト指標は、ユニークユーザー×滞在時間に移行する
・PVは、Ajax/Flashといったリッチコンテンツを読み込まず、
同一ユーザーによる閲覧もカウントしてしまうため、
広告効果を計る指標としてはもはや実情に即していない
付録1:数値で見る行動ターゲティング手法による効果の違い
付録2:国内のサービス提供会社一覧
付録3:最新のネットビジネス&ネット広告用語集
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■立ち読みのポイント
正直、あまりどこを見てくれという内容ではありません。
サイト担当者としては、教科書として読んでおくのが正解、という位置づけになりそうです。
新聞ではまだまだコンテンツ連動型広告を追っているため、
第3章を見て行動ターゲティング広告に3つの種類があることを頭に入れておくことは
勉強になります。
────────────────────────────────────────
それでは5点満点での評価です。

タイトル(2)★★
同様のタイトルはまだまだ少ないので、
この分野の先駆けとしてストレートなタイトルで○です。
副題の「ページビュー神話の終焉」も、
味気ない主題をサポートするキャッチになって利いています。
欲を言えばもう少し色気を出したいところ。
「ページビュー神話の終焉」=広告効果指標の在り方が変わる
ということが本書のテーマです。
主題を活かすとすれば、副題は以下のように変えてみてもおもしろいかもしれません。
例1:「行動ターゲティング広告―サイトリスティングの次に来るもの」
例2:「行動ターゲティング広告―ネット広告のネクストカマー」
元の副題は、ページビューだけではサイトを計れない、
という一般読者の意識を顕在化させることに成功しています。
もう一歩踏み込んで、次はこれだ!と言い切れると、読者も「おっ」となります。
特にリスティング広告が一服した時期なので、
「次」をズバリ指摘することでより多くの読者の目に留まるのではないでしょうか。

ナレッジ(1)★
テーマである行動ターゲティング広告については理解できます。
種類とシステムの仕組みについて専門的な立場で書き下ろしたのは、
本書が初なのではないでしょうか。
ただ、理解したことを明日からどう役立てるかについての説明がありません。
付録2に国内のサービス提供会社一覧が出てきますが、
たとえばこれらの会社と組んでどんな広告展開を打てばいいのか、
事例で見せて欲しかったです。
第1章に事例紹介はあるものの、
インタビューを受ける企業が「私たちはこうです」
と話す内容を客観的にヒアリングする内容になっていて、
特にこの部分で著者の分析は加わりません。
ただのインタビューではなく、
明確な成功事例として本編に割いて取り上げられていれば、
よし、明日からやろうという気になるのですが‥

スキーム(1)★
第1章と付録に疑問を覚えます。
まず導入事例について触れた第1章。
4つの企業の担当者へのインタビューが出てきます。
ところが、「導入しています。まだ導入し始めなので、これから成果を見守っていきたいです」
という論調なので、本としてナレッジを吸収するには物足りません。
インタビュー中のネットにかける広告費の内訳等は読んでいて参考になりますが、
肝心の行動ターゲティング広告の利用期間・効果についての記述はとても薄く、
これなら載せない方が良かったのではと思ってしまいます。
以上のように、「成果はまだ道半ば」な事例なので、
ページの配置としても最初に持ってくるのは不適当であり、
載せるとしたら最後ではないかと思います。
付録も同様に削れる要素です。
付録1・手法による効果の違いは大事なので、
各手法を説明する第3章に挟み込むという選択肢が取れます。
付録3・用語集は、本書を手に取っている時点で、
最新のネット広告動向に興味のある読者=基本的な説明はかえって不要
であると推測されるので、丁寧で好感は持てますが、
あえて切り落とすことで本としての統一感の方を選んで欲しかったです。

総合(1)★
私のようなネット広告初心者向けです。
明日から広告展開を見直さなければいけない担当者の方は、
広告代理店を即刻呼んでしまった方が絶対早いです。
そうした切迫した状況になければ、
明日のネット広告の運用を知る上で有効な1冊になります。
ただし、この広告を使ってものすごく成功したという話が収録されているわけではなく、
それゆえにどうしても話半分での理解に留まってしまいます。


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| ネットビジネス(業界・起業家・ウェブマーケティング) | 00:01 | comments(0) | - |pookmark
「企業価値を高めるコーポレートサイト戦略」セミナー (ネットイヤーグループ/石黒不二代・佐々木裕彦)
大人数の時と少人数の時、
プレゼンをするならどちらの方が緊張しますか?
私は断然、「少人数の時」ですワッ!
おそらく1人1人に理解してもらいたいという想いが普段よりも強くなって、
いちいち聞く側の反応を気にしてしまうためだと推測されます。
反応がいまひとつだと、
「あれ、つまらないのかな。よし、この先にもっとおもしろい話を用意してあるから、
そこまでは駆け足で行こう」と思ったら最後。
早口になって聞き取りづらくなる上に、言葉の重みもなくなって印象に残りません。
そんな状態でヤマ場に引っ張っても、相手は聴く態勢を示していません。
自分のペースで話せていない時点で、場に飲まれてしまっているわけです。
気をつけないとついつい(悪い意味で)相手に合わせてしまうのです。

これに対して大人数を前にした時、
たとえばイベントやセミナー等の大規模な催しの司会をする時は、不思議と緊張しません。
緊張しているのかもしれませんが、自分でそれを感じることがなくて済みます。
少々派手なパフォーマンスをしても相応に見えてしまいますし、
時間内に言うことが決まっているため、無理に変更しようとは思いません。
私は断然、大舞台の方が好きなのです。

今回講師を務めたネットイヤーグループのおふたりは、
非常に高いプレゼンスキルをお持ちでした。
むしろそちらが気になってしまい、気づいたことを書き留めていたので、
今日のブログの内容は薄いかもしれないです‥

プレゼン分析については少し長くなるので、個別評価の「講師」をご参照ください。
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■講演の要旨

*石黒氏「企業サイトのブランディング」
【ネットイヤーグループの活動】
・サイト構築、ブランディング、マーケティング戦略策定、等々
【強いブランドをつくる条件】
・Commitment、Consistency、No-compromise、Uniqueness
【ウェブブランディングのポイント】
・中計を反映している
⇒事例:東京海上日動〜CSR戦略の一環として
―コーポレートサイトのグローバルナビゲーションに「安心Worldナビ」を配置
・ユーザーエクスペリエンス
⇒事例:Nikon〜写真共有サイト「Fricker」にて
―新機種D80をユーザーに渡して写真を撮ってもらうキャンペーンを実施

*佐々木氏「コーポレートサイト戦略」
【経営との一体化】
・組織変更、事業再編等の経営戦略の変更をいち早くキャッチしていなければならない
【サイト構築のプロセス】
・サイトコンセプトの策定⇒要件定義⇒コンテンツ制作
【設計の段階】
・戦略⇒要件⇒構造⇒表層
【市場の変化】
・顧客接点の多様化
・ウェブサイトが企業の公式の接点になる
・CM、雑誌、店頭、クチコミ、CGM等のタッチポイントの中で、ウェブサイトが中心軸となる
【消費者を参加させるマーケティング展開】
・商品開発⇒事例:「空想生活」
・宣伝⇒事例:「mixi」
・理解促進⇒事例:「価格コム」
・販売⇒事例:「アマゾンアフィリエイト」
・サポート⇒事例:「はてな」
・「創る人&売る人」と「買う人&使う人」の境い目はなくなる
【マーケティング予算のシフト】
・メッセージからエクスペリエンスへ

────────────────────────────────────────
それでは5点満点での評価です。

内容(3)★★★
どちらかというと普段忙しくてじっくりとサイト戦略について
頭を回す余裕が無い経営層に聞いて欲しい内容でした。
「とにかく全体戦略、事業部門横断的に取り組むんだ」と
佐々木さんがおっしゃっていたのが印象に残っています。
会社の事業がいわゆるIT領域の場合、
全社的に取り組むことには理解が得られやすい環境にあります。
ところが、非IT系の場合はどうでしょう?
システム開発、コンテンツ企画、メディア運営、経営、
すべて別々のところで動いていないでしょうか。
これではせっかくの社内のリソースが拡散するばかりでなく、
会社としてのブランドイメージが統一できなくなります。
取りまとめをする経営側の配慮と、
お互いに部署間で情報を取りに行くスタッフ側の努力が求められています。

講師(5)★★★★★
このセミナーに出て講師のプレゼン技法をメモっていた変人はたぶん私だけでしょう‥
こういう技法って周りのうまい人に影響されるものだから、
今回私がメモりまくっていたということは、
私の会社では‥あ、いやいや、うまい人もいますマル秘

*石黒さんのプレゼン技法*
「私たち」・「あなた」という呼びかけを多用していました。
聴き手はどうしても話を聞いているうちに、関心が外れていきます。
全体のテーマに興味を持っていても、個別のテーマで関心の無い箇所が出てきたら、
「あれ、帰りの電車何時だっけ」とか気になり出します汗
これはどうしても自然なことなので、
講師はテーマに沿って話しながらも常に聴き手の注意を向けさせなければなりません。
石黒さんは、ピンマイクで両手を自由にして、
サイドの講師席も端に避けて、演台の中央に立つスタイルで講演されました。
嫌でも目に入ります!
聴き手の注目を集めるパフォーマンスは、
もし自信が無い講師が行えば自殺行為です。
あえてフリースタイルで演台に上がり、
言葉ひとつで注意を引きつける技術に感銘を受けました。
声がとても聞き取りやすいのも、話に注目できる理由のひとつです。
石黒さんはひとつひとつの言葉に息を吹き込むような表現力をお持ちでした。
たとえばある事例を評価して、「すごく良かった」と言う時には、
「すごーく」と驚きのイメージを言葉に付加します。
また「あんまり良くなかった」と言う時には、
「あんまり‥」と残念な思いを言葉に込めます。
抑揚は使いすぎると聞き苦しくなってしまうもの。
いかにバランスをうまく取るかが発声の妙なのだと思います。

資料(3)★★★
それぞれの講師のレジュメが1部ずつと、
会社のサービス案内ペラ1枚が配布されました。
レジュメの役割は大きく2つあって、
講演時の良きナビゲーションであることと、
家に帰った時に復習できるような内容になっていることです。
講演に集中させるため資料は徹底的に抜く方法を採る講師は最近多いですが、
口頭の情報量が多いと書き取れなくなって話にも集中できなくなるので、
データやナレッジはせめて項目だけでも落とし込んでおいて欲しい
というのが聴く側の本音です。
講師のおふたりはこの原則に則って、配布資料を構成している印象でした。

時間(3)★★★
19:00-19:45 石黒さん講演
19:45-20:45 佐々木さん講演
20:45-21:00 質疑応答
質問の時間がとても短く、3問くらいで終了しました。
質問時間を短くしておいて正解だったと思います。
テーマがウェブサイトのブランディング・マーケティングといった戦略面の話だったので、
あまり誰でも彼でも手が挙がるものではありません。
ぎりぎりまで講師の話を聞ける無駄のない進行でした。

費用(3)★★★
戦略面の話は、ナレッジを明日からどう活かすかというよりも、
常に念頭に置いておくべきことを理解するというものです。
参加費5,000円は人によっては高いと感じるかもしれませんが、
意識の高い人には妥当な金額だと思われます。
クオリティの高いプレゼンを見ることができたという視点からも満足です。

総合(3)★★★
実は私自身が会社で1人でサイト運営をしていることもあり、
今回の講演は危機感を持って聞くことができました。
会社のイメージを守れるように、各担当者が結びついて、
デザイン、インターフェース、コンテンツ、メッセージの仕様に
常に気を配る体制づくりこそ大事なのだと学びました。


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| ネットビジネス(業界・起業家・ウェブマーケティング) | 22:07 | comments(0) | - |pookmark
その1人が30万人を動かす! 影響力を味方につけるインフルエンサー・マーケティング (ブルーカレント・ジャパン/本田哲也)
「ブログやSNSを使ってビジネスがしたい」
こう考えている担当者はごまんといます。
でも、何から手をつけていいのか、どんな手法が効果的なのか、
イマイチよくわからないのが本音です。

そこで広告代理店の人を呼んで相談します。
「何かいい案ないですか?」
「そうですね。私のところでもSNSへの広告の取り扱いを始めまして‥」
とよくわからない分厚い企画書を渡されげんなりです。
1年前までの私の状況でした。
広告代理店に話を聞くのは間違いでないにせよ、
自分で調べて考えていないことは結局ダメですね。
何せ向こうもよくわかっていないピピピ

この問題の背景にあるのは、
どんなメディアがいいのか、どのくらいの予算を付ければいいのか、ばかりに目が向いていて、
マーケティングの観点からブログやSNSを捉えていないことにあります。
個々の媒体の特性で選ぶ以前に、
ブログやSNSが持つ機能は何なのか、マーケティングの中でどのような役割を果たすのか、
これをしっかりと学習しないことには始まりません。
そうでないと既存のマスメディアの扱いと一緒になってしまいます。
なんとなくターゲット層が見ているから露出しておくか、という‥

本書は、特にブログを中心としたマーケティング手法を解説しています。
踊る大捜査線か古畑任三郎を彷彿させる怪しげな表紙からは想像もつかないほど、
中身はしっかりとした構成になっています。
また、インフルエンサーマーケティングという聞きなれない言葉にしても、
要はブログをマーケティングにどう活かすかということを述べており、
仕掛け方が提示されてる点では、単なるサイト研究に留まる類書と比べ物になりません。
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■本書の構成
第1章:インフルエンサー・3つの属性(マスメディア・専門家・個人ブロガー)
第2章:インフルエンサーマーケティングはPULL型
第3章:プロモーション戦略の組み立て方
第4章:ユーザーとのコミュニケーションの取り方で注意すべきこと

他にも要点はいくつかありますが、大体上記のような構成になっています。
本書が優れているのは、「インフルエンサーマーケティング」の解説書ではなく、
既存のプロモーションにこれをどう組み込むかという視点から書かれていることです。
WEBマーケティングの本としても成り立ちます。
────────────────────────────────────────
■立ち読みのポイント
インフルエンサーマーケティングの概念は本書全体に散りばめられているため、
ここではそれ以前の内容について触れてみます。

⇒91ページ【PUSH型プロモーションを利かせるには】
PUSH型かPULL型かの概念は意外に判別が難しいものです。
一般にDMやメルマガで見込み客を呼び込んで販促につなげるのがPULL型、
飛び込みやテレアポのようにこちらからアクションを起こすのがPUSH型と認識されています。
ところがお客さんによってはそうは思ってくれない(!)
DMを入れただけでも「営業だ!!」とお怒りになる人もいるし、
私自身メルマガはかなり重たく感じます(配信停止にすればいいんでしょうけど‥)。
DMやメルマガでも見込み客を選別した上で発信しますから、それで「営業」と捉えられたら、
店頭や玄関先で相手を捕まえるPUSH型はいかに属人的な高等技術を要するかわかります。
そこでどちらの戦略を取るにしても(本書の中ではPUSH型戦略を取る場合)、
相手の心をいかにオープンにさせるかがカギとなります。
この重要な役割を担うのがインフルエンサーマーケティングの要である
「関心テーマ」の設定です。
広告や店頭プロモーションを行う前に、
インフルエンサー(マスメディア・個人ブロガー等)による情報発信が行われていれば、
消費者には広告や店頭プロモーションが利きやすくなる、というのが著者の導いた結論です。

念のため日経ビジュアル文庫「マーケティングの基本」(野口智雄2005.3)で
PUSH戦略とPULL戦略の違いを調べてみると、
販売員や営業担当者を介して消費者に需要を喚起していくのがPUSH型、
メディア広告によって消費者に購買を促すのがPULL型、ということです。

⇒157ページ【炎上を防ぐためのルール策定】
以前このブログでも、
『ブログマーケティングの新展開セミナー』や
『SMOソーシャルメディア最適化実践テクニック』の回に、
炎上しないためにはどうしたらいいかの話を書きました。
でもその時は「ブログを開設するメリットとの比較だ」とのみ書き、
真の対応方法は特に書きませんでした。
本書によれば、
米国ではWOMMA(クチコミマーケティング協会)という組織が2004年に設立され、
PR会社やメーカーといった加盟各社が守るべき
ウェブマーケティング上の倫理規定が設けられているそうです。
その中で最も重要視されているのは、「公平さ」という観点であり、
以下のように解説されています。
・企業は消費者へ金品の提供をする際には前もって明らかにしなければならない
・消費者の自由な意見を妨げる対応を取ってはならない
・マーケッターは消費者に身分を偽ったり隠してはならない
とても具体的な対応規定です。
本書ではこの前の部分で日本での炎上事例の歴史がまとめられているので、
これも対応を考えるにあたって非常に有効な資料になります。
ただ単に最新のウェブマーケティングの手法を紹介するだけでなく、
そこにどんな落とし穴があるかを対応策まで含めて検討しているところに
著者の奥の深さを感じます。
────────────────────────────────────────
それでは5点満点での評価です。

タイトル(1)★
「1人が30万人を動かす」ことは確かにすごくインパクトがあることです。
本書の数々の事例を見ればそれがまんざらでないことにうなづけます。
しかしやはり1に比べて30万が突拍子も無い倍数なのと、
1と30はキリが悪いうえにその組み合わせになっていて、何か腹に落ちません。
また副題の「インフルエンサーマーケティング」も
本を読む前の段階では何だか遠い世界のことのように感じられ、
一般の人が手に取るにはちょっとハードルが高いです。
もし仮にタイトルをつけ直すとしたら、
「消費者を動かすためのとっておきのブログマーケティング」とかどうでしょう。
読者にとって馴染み深い言葉であり、
かつ実際ブログを使った手法がほとんどなので手に取る人は増えると思います。
ただ、直しのタイトルだと、前半がちょっとありがちでチープなのと、
マーケティングでもPRよりの内容なので正確性を欠くかもしれません。
やっぱりPR会社の人が書いているし、おしゃれな言いかたの方がいいのかな。

ナレッジ(5)★★★★★
「まえがき」で著者が解説している通りのことが約束されています。
インフルエンサーの属性分析に始まり、
巻き込むための関心テーマの設定方法、
施策を最適化するためのプロモーションの順序、
効果を最大化するポイント、
効果測定と課題、
が順番に展開され、数々の事例を見ながら体系化されたノウハウを学べます。
マーケティング本のタイプとして、ノウハウのみだったり、事例のみだったり、
バランスの悪い本が多数ある中、ノウハウを事例で実証し、
読者にはどうノウハウを使って欲しいかが明確に記されてあります。
読んでいて「これ、使おう」という気になってくるので、
見ていて次がどんどん気になる構成になっています。

スキーム(5)★★★★★
「ナレッジ」のパートでだいぶ構成に触れてしまいました‥
上記以外で補足を少しだけ。
PR会社の方らしくパブリシティやサイトイメージの画像情報も、
きちんと写真に収められていて、本文を読む助けになります。
このあたりを面倒くさがるマーケティング本は多いのですが、
図だけではどうしても堅苦しいイメージを与えてしまいます。
マーケティング=身近なものとして読者に親しんでもらうために、
わずかな労力も惜しむべきではないと本書は教えてくれます。

総合(4)★★★★
タイトルと表紙でだいぶ損をしています。
マーケティング=ウェブマーケティングという時代になったので、
新入社員にも入門書としておすすめできます。
何よりPR会社に勤める著者がとても平易な言葉で執筆していることに
本書の志の高さを感じることができます。


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| ネットビジネス(業界・起業家・ウェブマーケティング) | 21:25 | comments(2) | - |pookmark
価格.com賢者の買い物―カカクコムの起承発展 (久保田正志)
評価:
久保田 正志
日刊スポーツ出版社
¥ 1,575
(2007-11)
皆さんは『キャプテン』をご存知でしょうか?
野球マンガの名作として知られ、私の中でドカベンと双璧を成しています。

このマンガの特徴は、
その名の通りチームのキャプテンを主軸に描いていることです。
舞台は墨谷二中の野球部野球
先代からキャプテンを継承され、それぞれに奮闘しつつキャプテンは引退し、
後輩として育った下級生が今度はキャプテンになっていく‥
それを4代繰り返したあたりで終わります。
この代替わりが部活っぽくて妙にリアルなんです。

今回ご紹介するカカクコムの本とはかけ離れた話をしていますが、
本書を読んでいて、『キャプテン』を思い出さずにはいられませんでした。

カカクコムは創業10年で3代の社長を変遷しています。
一部上場までのスピードはもちろんのこと、
10年で3代という数字こそ、この会社の強さを決定づけています。

多くの中小企業では、創業者が強いカリスマ性でガバナンスを敷き、
成長と共に事業が増え経営が複雑化しても、
それでもなお現場にガバナンスを敷き続けるという傾向があります。

創業者の影響力が強すぎると、
ある程度の従業員数になった時に必ず部下をダメにします。
裁量権を渡さないと部下に自主性が育たなくなり、
イノベーションがかからないため、やがて会社は衰退します。

逆に3年に1度のペースで社長が交代しても、
普通は会社の体力が持ちません。
従業員が「誰」を見て仕事をすればいいかわからなくなります。
カカクコムが生き延び続けているということは、
前任者がきっぱりと道を譲っていることと、
社としてのアイデンティティーが確立していることがわかります。
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■本書の構成

※完全にネタバレになります。
まだ読んでいない方は味わいが薄くなってしまうのでここは飛ばして読んでください。

●第1章〜第4章【槇野社長時代】
・メルコでの新人営業
・パソコン価格比較サイトの立ち上げ
・PCボンバー渡邉専務との二人三脚
・バナー広告の出稿ラッシュ
・店舗側で更新できるシステムの導入
・米国の商品比較サイト『DealTime』の日本進出
・VCを率いる穐田氏との出会い
・コンテンツの拡充(掲示板運営・PC以外の商品比較)
・穐田氏のVCによる友好的な買収、槇野氏引退による社長交代

●第5章〜第7章【穐田社長時代】
・DELLとの契約
・課金制度の見直し
・掲示板用ID登録制度の導入
・マザーズ上場
・M&Aによるサイトコンテンツ拡充
・一部上場
・不正アクセス事件によるサイト閉鎖
・ユーザーからの激励、サイト復旧

●第8章〜第9章【田中社長時代】
・社長交代
・ショップ評価制度の導入
・新コンテンツの拡充

●付録
・社史
・アクセス数の推移
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■立ち読みのポイント

本書には3つの楽しみ方があります。
これに沿って立ち読みのポイントをご紹介します。

1)起業家の成功ストーリー
⇒21ページ【サイト制作に必要なスキル】
サイトを制作する時にどんなスキルが一番重要か?
私自身はビジネスの立ち上げと同じで、「アイデア力」だと思います。
閃きがある限りどこまででもサイトを差別化できる。
WEBをやりたいけど未経験だという方、
「特別な勉強をしてこなかったし‥」とあきらめていませんか?
率直な感想として、技術的なことはどうでにもなります。
アイデアに自信があればどんどんチャレンジしていくべきです。
というのも、リードがどう、ユーザビリティーがどう、タグがどうとか言いますが、
制作の過程はもっとアナログです。雑誌をつくる過程よりアナログです。
どんな機能を付けて、どんな面にするか、フリーハンドで事足ります。
コーディングからは別世界ですが、そこまではかなり一般的な感覚で対応できます。
要するにアイデア勝負。
創業者の槇野さんは、人を雇うまで1人でシステムを開発していました。
店頭やネットで調べてきた価格を、アクセスとエクセルでまとめていく。
そしてユーザーにとって必要な最安値情報に徹底的にこだわる。
大事なのはプログラムうんぬんではなくて、
今日まで生き残ることになる「価格を比較する」というアイデアです。

2)WEBサイトの発展施策を知る
⇒134ページ【課金制度の見直し】
WEBサイトのビジネスモデルは、EC・広告・課金でした。
『ウェブを進化させる人たち』の回でドリコムの内藤さんが言っていた通りです。
このうち、ECは商品そのものを扱うため、容易に価格を変更することはできません。
他の広告・課金については、サイトのサイズに合わせて変えることができます。
私たちはここで勝負をすることになります。
WEBサイトビジネスでは、PVやUUといった指標で縛りを受けるものの、
比較的自由に広告や課金を値づけをすることができます。
リアル店舗ほどには周辺環境や競合環境に左右されません。
それゆえに価格を読みきるのはなかなか難しいものです。
もともとのプライシングが「不透明」と思われている節があるため、
わずかな値上げでも顧客は敏感に反応します。
このあたりはリアルよりもネットの方が不利な部分かもしれません。
料金改定(たいていは値上げ)をどう顧客に理解してもらえばよいでしょうか?
楽天のようなEC事業者の多くは、サイトのサイズが拡大した時期に
料金改定(出展料の切り上げ等)を行っています。
本書でも穐田社長時代に課金制度の見直しを行っていますが、
やはり合理的に費用対効果を説明することで顧客の理解を得ています。

⇒193ページ【ショップ評価制度の導入】
導入したら顧客からの反発が予想される機能に、レコメンドシステムがあります。
このブログもそうですが、読者によるレビュー・評価機能です。
アマゾンドットコムが先駆者となって、
今や多くのポータル・ECサイトで消費者レビューを見ることができます。
「評価を書かれる」ということは、店としてはかなり覚悟がいることです。
サービスの捉え方は人により千差万別で、
必ずネガティブな意見が出てくることが予想されます。
しかし、ネット上はどうあれリアルの口コミを止めることは誰にもできません。
もはや「ネガティブ情報を把握していないことの方が怖い」時代なのだと気づいてもらえれば、
優良顧客のみを抱え込める点でも導入のメリットはとても大きいと言えます。

3)カカクコムの企業研究
第7章を見ると、不正アクセス事件により従業員の結束力が高まったことがわかります。
起業ドキュメント本ではその企業のバリューを深く知ることができます。
カカクコムでは徹底したユーザー視点を貫いています。
企業の根幹を揺るがす一大事が起きた時、従業員がどんな行動に出るかは、
日頃、経営が企業バリューをどれだけ伝えきっているかで変わってきます。
三菱自動車のようにクレームをロッカーまで隠しに行くのかどうか。
最近の食品偽装(消費期限・原材料)事件では、
賢明な従業員が経営陣すら忘れていた「本当のバリュー」を
自ら実践していることに驚かされます。
危機における対応力は、企業文化そのものが表れる決定的な評価基準となります。
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それでは5点満点での評価です。

タイトル(1)★
「起承発展」は悪くありません。ところが「賢者の買い物」はどうでしょう。
本書の内容はカカクコムユーザーの賢い買い物方法を知るためものではないので、
内容を表しているわけでもなければ、
わかりやすい解釈が類推できるわけでもありません。
とても不親切なタイトルです。
実際の内容はもっと企業ドキュメント寄りです。
「価格.comってカカクドットコムじゃないの?」あたりでどうでしょうか。
インパクトねらいの点もありますが、
「サイト名こそユーザーを意識して呼びやすい名前にしなければいけない」ことがわかり、
ユーザー満足に心を砕く同社の文化が伝わるのではないかと考えました。

ナレッジ(5)★★★★★
立ち読みのポイントで紹介した通りになるので、
ここでは割愛します。

スキーム(5)★★★★★
本のターゲットが明確になっていることが本書の強みです。
「立ち読みのポイント」で3つの観点を紹介しましたが、
本当にここに照準を絞ったのではないかと思えるくらいです。
一般的なサイトユーザーは、企業よりもサイトの商品や記事を見ます。
本の企画にあたってはこの層を切る必要があります。
逆にカカクコムの名前を出して飛びつくであろう読者とは、
やはり起業を目指している、しかもITで成功したい、人たちなのだと思います。
この人たちが必要としている情報は、
どんなタイプの性格/バックボーンを持っていれば起業家に向くのか、
サイトの運営・発展にはどんな施策が有効なのか、
カカクコムの成長を指標で見るとどのくらいか、ということです。
本書にはそれがすべて入っています。
緻密に歴史を追いかけていく構成も見事なのですが、
ターゲットを明確に洗い出した時点でほぼ「勝ち」です。

総合(4)★★★★
というわけで、とても読み応えのある本書です。
初め手に取った時、文字が小さく読むのにしんどそうだなと感じましたが、
いざ読み出すと登場人物の行動や発言に臨場感があり、
フォントサイズはまったく苦にならないです。
惜しむらくはタイトル。
なぜここだけユーザーに迎合したのか理解できません。
徹底的に本の想定読者目線で仕上げて欲しかったです。


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| ネットビジネス(業界・起業家・ウェブマーケティング) | 23:48 | comments(2) | - |pookmark