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その1人が30万人を動かす! 影響力を味方につけるインフルエンサー・マーケティング (ブルーカレント・ジャパン/本田哲也)
「ブログやSNSを使ってビジネスがしたい」
こう考えている担当者はごまんといます。
でも、何から手をつけていいのか、どんな手法が効果的なのか、
イマイチよくわからないのが本音です。

そこで広告代理店の人を呼んで相談します。
「何かいい案ないですか?」
「そうですね。私のところでもSNSへの広告の取り扱いを始めまして‥」
とよくわからない分厚い企画書を渡されげんなりです。
1年前までの私の状況でした。
広告代理店に話を聞くのは間違いでないにせよ、
自分で調べて考えていないことは結局ダメですね。
何せ向こうもよくわかっていないピピピ

この問題の背景にあるのは、
どんなメディアがいいのか、どのくらいの予算を付ければいいのか、ばかりに目が向いていて、
マーケティングの観点からブログやSNSを捉えていないことにあります。
個々の媒体の特性で選ぶ以前に、
ブログやSNSが持つ機能は何なのか、マーケティングの中でどのような役割を果たすのか、
これをしっかりと学習しないことには始まりません。
そうでないと既存のマスメディアの扱いと一緒になってしまいます。
なんとなくターゲット層が見ているから露出しておくか、という‥

本書は、特にブログを中心としたマーケティング手法を解説しています。
踊る大捜査線か古畑任三郎を彷彿させる怪しげな表紙からは想像もつかないほど、
中身はしっかりとした構成になっています。
また、インフルエンサーマーケティングという聞きなれない言葉にしても、
要はブログをマーケティングにどう活かすかということを述べており、
仕掛け方が提示されてる点では、単なるサイト研究に留まる類書と比べ物になりません。
────────────────────────────────────────
■本書の構成
第1章:インフルエンサー・3つの属性(マスメディア・専門家・個人ブロガー)
第2章:インフルエンサーマーケティングはPULL型
第3章:プロモーション戦略の組み立て方
第4章:ユーザーとのコミュニケーションの取り方で注意すべきこと

他にも要点はいくつかありますが、大体上記のような構成になっています。
本書が優れているのは、「インフルエンサーマーケティング」の解説書ではなく、
既存のプロモーションにこれをどう組み込むかという視点から書かれていることです。
WEBマーケティングの本としても成り立ちます。
────────────────────────────────────────
■立ち読みのポイント
インフルエンサーマーケティングの概念は本書全体に散りばめられているため、
ここではそれ以前の内容について触れてみます。

⇒91ページ【PUSH型プロモーションを利かせるには】
PUSH型かPULL型かの概念は意外に判別が難しいものです。
一般にDMやメルマガで見込み客を呼び込んで販促につなげるのがPULL型、
飛び込みやテレアポのようにこちらからアクションを起こすのがPUSH型と認識されています。
ところがお客さんによってはそうは思ってくれない(!)
DMを入れただけでも「営業だ!!」とお怒りになる人もいるし、
私自身メルマガはかなり重たく感じます(配信停止にすればいいんでしょうけど‥)。
DMやメルマガでも見込み客を選別した上で発信しますから、それで「営業」と捉えられたら、
店頭や玄関先で相手を捕まえるPUSH型はいかに属人的な高等技術を要するかわかります。
そこでどちらの戦略を取るにしても(本書の中ではPUSH型戦略を取る場合)、
相手の心をいかにオープンにさせるかがカギとなります。
この重要な役割を担うのがインフルエンサーマーケティングの要である
「関心テーマ」の設定です。
広告や店頭プロモーションを行う前に、
インフルエンサー(マスメディア・個人ブロガー等)による情報発信が行われていれば、
消費者には広告や店頭プロモーションが利きやすくなる、というのが著者の導いた結論です。

念のため日経ビジュアル文庫「マーケティングの基本」(野口智雄2005.3)で
PUSH戦略とPULL戦略の違いを調べてみると、
販売員や営業担当者を介して消費者に需要を喚起していくのがPUSH型、
メディア広告によって消費者に購買を促すのがPULL型、ということです。

⇒157ページ【炎上を防ぐためのルール策定】
以前このブログでも、
『ブログマーケティングの新展開セミナー』や
『SMOソーシャルメディア最適化実践テクニック』の回に、
炎上しないためにはどうしたらいいかの話を書きました。
でもその時は「ブログを開設するメリットとの比較だ」とのみ書き、
真の対応方法は特に書きませんでした。
本書によれば、
米国ではWOMMA(クチコミマーケティング協会)という組織が2004年に設立され、
PR会社やメーカーといった加盟各社が守るべき
ウェブマーケティング上の倫理規定が設けられているそうです。
その中で最も重要視されているのは、「公平さ」という観点であり、
以下のように解説されています。
・企業は消費者へ金品の提供をする際には前もって明らかにしなければならない
・消費者の自由な意見を妨げる対応を取ってはならない
・マーケッターは消費者に身分を偽ったり隠してはならない
とても具体的な対応規定です。
本書ではこの前の部分で日本での炎上事例の歴史がまとめられているので、
これも対応を考えるにあたって非常に有効な資料になります。
ただ単に最新のウェブマーケティングの手法を紹介するだけでなく、
そこにどんな落とし穴があるかを対応策まで含めて検討しているところに
著者の奥の深さを感じます。
────────────────────────────────────────
それでは5点満点での評価です。

タイトル(1)★
「1人が30万人を動かす」ことは確かにすごくインパクトがあることです。
本書の数々の事例を見ればそれがまんざらでないことにうなづけます。
しかしやはり1に比べて30万が突拍子も無い倍数なのと、
1と30はキリが悪いうえにその組み合わせになっていて、何か腹に落ちません。
また副題の「インフルエンサーマーケティング」も
本を読む前の段階では何だか遠い世界のことのように感じられ、
一般の人が手に取るにはちょっとハードルが高いです。
もし仮にタイトルをつけ直すとしたら、
「消費者を動かすためのとっておきのブログマーケティング」とかどうでしょう。
読者にとって馴染み深い言葉であり、
かつ実際ブログを使った手法がほとんどなので手に取る人は増えると思います。
ただ、直しのタイトルだと、前半がちょっとありがちでチープなのと、
マーケティングでもPRよりの内容なので正確性を欠くかもしれません。
やっぱりPR会社の人が書いているし、おしゃれな言いかたの方がいいのかな。

ナレッジ(5)★★★★★
「まえがき」で著者が解説している通りのことが約束されています。
インフルエンサーの属性分析に始まり、
巻き込むための関心テーマの設定方法、
施策を最適化するためのプロモーションの順序、
効果を最大化するポイント、
効果測定と課題、
が順番に展開され、数々の事例を見ながら体系化されたノウハウを学べます。
マーケティング本のタイプとして、ノウハウのみだったり、事例のみだったり、
バランスの悪い本が多数ある中、ノウハウを事例で実証し、
読者にはどうノウハウを使って欲しいかが明確に記されてあります。
読んでいて「これ、使おう」という気になってくるので、
見ていて次がどんどん気になる構成になっています。

スキーム(5)★★★★★
「ナレッジ」のパートでだいぶ構成に触れてしまいました‥
上記以外で補足を少しだけ。
PR会社の方らしくパブリシティやサイトイメージの画像情報も、
きちんと写真に収められていて、本文を読む助けになります。
このあたりを面倒くさがるマーケティング本は多いのですが、
図だけではどうしても堅苦しいイメージを与えてしまいます。
マーケティング=身近なものとして読者に親しんでもらうために、
わずかな労力も惜しむべきではないと本書は教えてくれます。

総合(4)★★★★
タイトルと表紙でだいぶ損をしています。
マーケティング=ウェブマーケティングという時代になったので、
新入社員にも入門書としておすすめできます。
何よりPR会社に勤める著者がとても平易な言葉で執筆していることに
本書の志の高さを感じることができます。


JUGEMテーマ:ビジネス


| ネットビジネス(業界・起業家・ウェブマーケティング) | 21:25 | comments(2) | - |pookmark
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Comment
本田さんは、「影響力」「インフルエンサー」というキーワードで長らくコミュニケーションしているようなので、
それは外せないと思います。
しかもブロガーだけがインフルエンサーではないので、
今更ブログマーケティングでは時代遅れなのでは?
| EIJI | 2007/12/09 11:53 PM |
EIJIさま、コメントありがとうございます!
タイトルのキーワードが2つとも本田さんの活動を
象徴するものだということですね。
私の場合、
雑誌『PRIR』等でちらっと拝見する程度でしたので、
もっともっと著者の活動を知っていきたいと思いました。
ご指摘本当にありがとうございます!!


| ぜろよんご | 2007/12/11 8:55 AM |
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