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会社は2年で辞めていい (山崎元)
どれくらい長く勤務したら今の会社を辞めてもいいのか?
転職者にとってのひとつの悩みです。
最近この議論にまったく意味が無いことに気づきました。

私の職業人生の中で最悪だったのは、新入社員時代です。
本社研修を経て6月に部署に配属になり、
9月には「もう我慢できない!!」状態に。

本当にどうしようかと思いました。
社会人1年目でまだ半年しか経っていない頃ですよ。
ここで辞めたら生活はどうなるのだろうとか、
親になんて言えばいいだろうとか、
バリバリ働く友人が羨ましいとか考えていました。

そこで冒頭の議論です。
若い頃は長く勤めることに意味を求めがちです。
30代までにはあのポジションに就こう、とか、
早く本社に戻れる人材になろう、とか。
会社の決定に応じて従うのみで、
自分が何をしたいかという視点が皆無です。

たぶん私が入社半年で辞めたくなって不安になったのは、
会社を辞めて社会でのポジションを失うことに対する不安よりも、
自分をどう活かしていくべかわからないことに対する不安が大きかったのだと思います。
実際「辞めてやる!!」と思った次の瞬間から、
「で、何をする?」という疑問が浮かんできます。
この疑問がよぎる瞬間こそが真の恐怖なのです。

現在では自分の人材価値を分析し、
自分自身のミッションは何か、働くうえで大切にしているマインドは何か、
どんな企画を実現させたいか、自分はどんなスキルで実績を残せるか
等々をある程度は理解できているため、
明日会社が無くなったら困りますが、不測の事態に備えることはできています。

業界によってはM&Aが激しく、
今日勤めていた会社が明日から違う文化に変わることも容易に考えられます。
会社の経営権を握って攻防できるプレイヤーは限られていますから、
一般社員としては自分自身の価値観を強く持つことが求められています。
でないと、「XX課長は無能だ」とか、
「うちの会社は社員のことを考えていない」という愚痴だけで人生が終わってしまいます。

つまるところ転職というのは、
「自分で自分の職業環境を選べる自由」であると著者も述べています。
以前のエントリーでレッドソックスの岡島投手の話を書きましたが、
会社員であれば、現在の場所で自分の価値を磨きながら、
価値を最大化するための場所を常に模索していく必要があります。
これを怠った時、転職は「負け」になります。
────────────────────────────────────────
■本書の構成
第1章:キャリアのつくり方
第2章:人材価値を決める要素
第3章:転職先の会社の選び方
第4章:女性のキャリアのつくり方
第5章:転職活動、退職、入職手続きのステップとポイント
第6章:著者が転職を経て得たもの・失ったもの
────────────────────────────────────────
■立ち読みのポイント

⇒54ページ【仕事にやりがいをもたらす要素】
著者によれば、仕事にやりがいをもたらす要素は2つあって、
(1)他の人の役に立っているという実感と、
(2)自分が成長しているという実感です。
これは本当に的を得ていて、
たとえば営業社員なら、会議での報告資料をつくる時、皆億劫になります。
「今月目標XXに対して実績XX、達成率XX%、この要因の主なものとしましては‥」
というただの報告会のための資料づくりだと思うと疲れます。
営業でなくても、日報や週報が存在している会社で、
上司が読んでいるのかどうかわからないような状況であれば、
書く作業は非常に骨が折れます。
これらは皆、非生産的活動です。
もちろん会議も日報もやり方次第で参加者のモチベーションを上げることができますから、
その時こそ著者が示す2つの視点を盛り込むことが大事になります。

⇒86ページ【転職回数が人物評価に及ぼす影響】
冒頭に「どれくらい長く勤務したら会社を辞めていいのか?」
という疑問を投げかけましたが、同様の疑問に、
「転職は何回までしてもいいのか?」というものがあります。
しかしこの論議もまったく無意味。
おそらく転職回数を判断基準とする人事担当者の根拠は、
「根性が座っていない」、「世の中をなめてる」といったものです。
思うのですが、根性や世の中に対する考え方は履歴書の中だけでわかるものでしょうか。
昨今のITビジネスの起業家は、
大手企業を5年〜1年の間に辞めて会社を興し成功しています。
私たちに同様の器量があるかは別として、
転職回数や在職期間で判断してしまうと、彼らが活躍していることの説明がつきません。
サイバーエージェントの藤田さんは1年でインテリジェンスを辞めています。
営業が得意だったから辞めたのであって、根性が無いわけではありません。
要は、転職回数や在職期間にこだわってしまうということは、
転職者であれば自分のスキルにまだ自信が無いということ、
人事担当者であれば人材の価値基準がまだ確立されていないということです。
ただし、一般的に短期間で得られる実績や経験は少ないから、
タイミングを間違えていけないということが本書では補足されています。
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それでは5点満点での評価です。

タイトル(4)★★★★
「2年」にとても合理性があることがポイントです。
「3年」ではこれまでの根性なし説と同じ、
「1年」では身につくことがあったとしてもかなり限定的。
であるからして、いったん後ろを振り返って前に進むためには2年が最適という判断です。
「辞めていい」と言い切っているところも気持ちがいい。
書店でキャリアマネジメントの本を見渡すと、
「今の会社をいかに有効活用すべきか=そして転職を思いとどまりなさい」
という論旨の本がとても多く見受けられます。
視点としてはとても重要ですが、
本当に転職すべきステージにいる人材には何の肥やしにもなりません。
飽きっぽい、消費型の社会は必ずしも良くないことですが、
自殺するまで現在の会社生活を思いつめたり、
ひたすら会社の愚痴をこぼしている人は、
今すぐに次の自分を見据える心構えが必要です。
そんな時に「2年で辞めてもいいんだ」という声で後押しされたら、
転職希望者はとても安心できます。
ターゲット読者の心理を非常によくつかんでいます。

ナレッジ(2)★★
第5章(転職活動の実際)は前著同様、
転職経験に基づいて整理されたノウハウなのでとても役に立ちます。
第3章(会社の選び方)もベンチャー企業の見方や
人間関係が原因で転職せざるを得ない場合の判断基準等、
かなり実際に起こりうるケースを想定したアドバイスになっているため、
多くの人にとって有益です。
しかし前著を読んでいる人にはあまり目新しい内容は無いというのが本音です。

スキーム(1)★
前著が良すぎたのでタイトルの進化とは裏腹に、
内容の勢いは落ちてしまった感があります。
転職者にとっては第5章(転職活動の実際)の内容を知りたいわけで、
職業人生の心構えを説いた第1章〜第4章までは冗長です。
もちろん「心構え」は大事。
ただ、論理立てて構成した割に、要点が分散してしまい、
前著のような内容の濃さは感じませんでした。
しかし私の指摘にも矛盾はあって、
第5章を中心に構成すると前著とまったく同じ内容になってしまうため、
あえて新刊を出す意味は第1章〜第4章にあったとも言えます。
この辺りが大きなジレンマです。

総合(2)★★
とにかく前著の影に引きづられて読んでしまうため、以前のような感銘はありません。
始めて著者のアドバイスに触れる人が、
この構成でどれだけ感銘を受けるのかは別途知る必要がありそうです。
しかし転職というキーワードを超えて、総合的なキャリアプランを説いた本書は、
今すぐに転職したいという人には関係が薄い内容も多く含まれ、
初めから2/3の内容はまどろっこしいだけだと思います。


JUGEMテーマ:ビジネス


| 人材マネジメント(採用・研修・転職・モチベーション) | 01:00 | comments(0) | - |pookmark
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