<< だから私はスベらない (上原英範) | main | トンデモWeb業界 (小田原貴樹) >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - |pookmark
トップセールスの頭の中 (田中徹)
評価:
田中 徹
日本実業出版社
¥ 1,365
(2007-12-20)
営業にとっての悩みは大きく2つあります。
ひとつは、物が売れないこと。
もうひとつは、スペシャリスト性を感じにくいこと。
この職種に留まれない人はここが大きなネックになっています。

まず初めに、「物が売れないこと」です。
私は現役の営業で、短期集中型のプロジェクトをいくつか手がけています。
実績が出ているうちは気分がいいもので、
「こうして売った」みたいな武勇伝も飛び出すのですが、
目標を割ったらどうしよう?という恐怖とは常に隣り合わせです。

今は自分で営業をかけられる立場にあるのでまだ良しとして、
新卒で初めの会社で担当した代理店営業は本当に苦痛でした。
いま思い返せば笑い話なのですが、
代理店の間では、「商品が悪い」・「他社が強い」・「顧客が減っている」という
営業なら言ってはいけないNGワードが普通に飛び交っていました。
今なら「なら、問題点は明らかじゃん。あとは解決策を考えるだけだ」となりますが、
当時そんな余裕はありませんでした。

次に、「スペシャリスト性を感じにくいこと」です。
長く営業キャリアを続けていく上ではむしろこっちの方が大きな課題になります。
私は初めに勤めた出版社に入る際、
「編集ではない」、「管理ではない」、「現場を回りたいから営業か」
という流れで自然と営業職を選んでいました。
ところが、悪く言うと「物を売ること」は誰にでもできてしまいます。あとは数の差だけ。
トップセールスにならない限り、「その他大勢」扱いなので、
ここでアイデンティティーを見出せなくなってしまう「先輩」がかなりいます。
企画職のように何か成果物があるわけでもなく、
管理系のように手に職を持って専門の仕事をこなすわけでもない。
常に数字との闘い。

しかし、長い目で見れば営業は絶対得をしています。
少なくとも対人スキルという面において、他を圧倒してスペシャリストになれます。
たとえば、顧客に郵送物を送る際、
どんな紙を使うか、宛名をどう書けばよいか、いつ指定で送ればよいか、
人任せの営業をしていなければ自然とこなせます。
こんな事務作業こそ「誰でもできる」と思いがちですが、
毎日それをやっている人とそうでない人とでは、「差」はとてもつきます。
事業活動の根幹には「物が売れること」がありますから、
極論すれば明日自分で会社を興して、いきなり食っていけるのは営業だけです。
────────────────────────────────────────
■本書の構成
chapter1:営業におけるマーケティングの考え方、活動準備
chapter2:応酬話法、プレゼン技法
chapter3:営業ツールのつくり方、ワンランク上の営業話法
chapter4:情報収集の仕方、ロープレの仕方
────────────────────────────────────────
■立ち読みのポイント

⇒70ページ【営業が下手な人のトーク例】
営業でチームを組むと、それぞれが持ってくる実績に
「なぜこんなにも」というくらい差がつくことがあります。
販促ツールや交渉カードは同じなのに不思議です。
なかなか実績が出ない人はトークを見直してみる必要があります。
本書にあるように、
初めから商品のウリをすべて話してしまって、「で、どうですか」とやる営業はけっこういます。
一瞬にして会話が終わってしまいます。
自分が持っているカードは有効に使う、トランプみたいなこの原理が、
デキる人とそうでない人を分ける一つの要素です。

────────────────────────────────────────
それでは5点満点での評価です。

タイトル(0)−
けっこういいナレッジが詰まっているのに、このタイトルでは‥
たまたま営業の人が手に取ってくれるのを待つのみで、
他の強力な類書に名前負けしてしまいます。
『御社の営業がダメな理由』の藤本さんならば、
「USENでトップセールスを誇った」ことがアイキャッチになって惹きつけられます。
しかし本書では「トップセールスの」と題されていて、
著者の冠に「業績アップコンサルタント」と書かれてあるだけなので、
一般の人が書いたのかな‥と信用力を担保できません。
中身を見ると、たびたび車のディーラーでのたとえが出てくることから、
著者は経営コンサルの中でもその方面に自信があるのだと推測されます。
もし代替タイトルをつけるとすると、
『どうやって私は車を売ればいいのか』みたいなのはどうでしょう。
現行タイトルのままだと、
コンサルタントである著者=トップセールスなのか、
著者が分析したトップセールス達の頭の中なのか、伝わってきません。
前者はちょっと鼻につく感じがあるので、
スタンスを明確にするとよりよいタイトルになる気がします。

ナレッジ(2)★★
断り文句への応酬話法や、話の進め方について、
具体的なセリフを含む記述があって、それなりに役に立ちます。

スキーム(1)★
とにかく著者のノウハウを詰め込んだ内容になっており、
良くも悪くも「広く・浅く」です。
営業におけるクロージングまでのフローがメインになっているため、
この部分のみで勝負した方が読者も集中できて良いのですが‥
chapter3の営業ツールのつくり方や、chapter4の情報収集の仕方は
「こんなんもあるよ」的なレベルなので、無駄だと感じました。

総合(1)★
★は1ですが、営業として読んでおいて損はないです。
実は多くの営業本が内容的にはほぼ同じことを言っています。
「売り急ぐな」、「お客様の話を聞こう」、「買いたいサインを見逃すな」等々。
しかし新商品を扱ったり、新規の顧客開拓になると、ついつい忘れてしまいがちです。
ですから、何ヶ月かにいっぺん同じ内容を吸収するのはムダでないですし、
本書のように実際のトークの例が入っていると引き出しも広がります。


JUGEMテーマ:ビジネス


| 営業(アプローチ・プレゼン・営業ツール) | 20:56 | comments(0) | - |pookmark
スポンサーサイト
| - | 20:56 | - | - |pookmark
Comment
コメントする