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評価:
松尾 昭仁
日本実業出版社
¥ 1,575
(2008-06-26)
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相性の悪い血液型ってありますか?
私の場合、公私ともにO型なんです‥
O型の方、ごめんなさい。
たまたま苦手な人にO型が多くて‥(でもO型で仲のいい友人もいますよ!)
リーダー経験のある人はお分かりの通り、
ビジネスで部下は選べません。
苦手なタイプの部下が出てきます。
イライラしますよね〜。
言った通りのことをしてくれないと。言ってなくて判断してもらいたいことを聞いてくると。
なぜこんなにも物分りが悪いんだって憤りすら感じます。
こんなとき、
私自身一番やってはいけないと気をつけていることは、
「原因を相手に求めること」です。
中学生くらいの時に塾に通って、
学校でわからなかったことがわかるようになったていう記憶ありません?
あれって塾の先生の指導がうまいからです。
決して、「何で話を聞いていないんだ!」「何でメモを取っていないんだ!」
「何で内容を忘れているんだ!」とは言いません。
なぜか?
「生徒の成績や学習態度が改善しない=教師の力量に問題がある」ことを
認めてしまうことになるからです。
むしろ直すのは己の方だと知っています。
良い悪いは別として、
いかにして勉強の話を聞かせるか、板書をノートに取らせるか、内容を記憶させるかが
彼らのプロ講師の仕事です。
ですから、まずは「自分の伝え方を疑う」よう努めるのが
教える側の礼儀です。
では、どのように伝え方を改善していったらよいでしょうか。
あまり教わることのできない「教え方」について、
本書をきっかけに触れていきましょう。
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■本書の構成
第1章:教える労力を割くメリット
第2章:教える時のポイント
第3章:不安に思っている部下を伸ばす方法
第4章:タイプ別の教え方
第5章:研修・セミナー講師時の教え方のポイント
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■立ち読みのポイント
⇒48ページ【 大事なポイントは繰り返す 】
私は転職をしているおかげで、異なるタイプの企業で、
様々な”上司”を見てきました。
人が伸びない組織には、上司に共通して次のような特徴があります。
1)『言ったよね』がすぐ出る
部下の指導でも、お客様とのやり取りでも、
ついつい「”自分”は”言った”しな‥」と考えてしまいます。
でも、「言った」かどうかはあまり論点になりません。
論理的には「言いました」「書いてあります」で、”自分の”優位を保つことができますが、
相手を”心から”納得させるには至りません。
それは問題を解決していないのと同じことです。
この手法は、部下を萎縮させるだけで逆効果。
その後本当にわからないところを聞いてくれなくなる副作用があります。
2)何でも自分でやってしまう
プレイヤーとして優れていて、
しかし、仕組みづくりが下手なタイプに多く見られます。
自分が裁量を手放さないので、
部下もおっかなびっくりで物事を進めざるを得ず、
「最後は〜さん判断だしな」とごく自然と責任を放棄し始めます。
突き詰めて仕事に向き合う姿勢を醸成しないため、
結局部下はいつまでたっても”成長実感”を得られません。
こうした間違いを犯さないために、
「大事なことは何度も繰り返せ」と本書は語ります。
『渡る世間は鬼ばかり』の脚本家として有名な橋田さんの例が紹介され、
「(ドラマの中で)くどいくらい同じ意味のセリフを台本に書いている」という言葉を知ると、
伝えることの難しさ・大切さを知ることができます。
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それでは5点満点での評価です。
タイトル(4)★★★★★
タイトルこそ平凡なものの、
装丁ではタイトル以上に目立っているコピーが素晴らしいです。
『「自分でやったほうが早い」と思うあなたは上司失格!』
耳痛いっすね〜。
ほんとにタイトル以上にこのコピーは目立っているので、
これだけで★4行っちゃいます。
ナレッジ(4)★★★★
立ち読みのポイントで紹介しきれなかったナレッジとして、
タイプ別部下の指導法も参考になります。
性格や年代を考慮して、どんな志向があって何に留意すべきかが書かれています。
個人的には、自分自身が「根拠のない自信がある部下」に当たるため、
自分と同じタイプをどうのように導けばいいのかに納得です。
スキーム(4)★★★★
なぜ教えるのか、教えることのメリットに始まり、
教え方のポイント、テクニックに至るまで、
非常に整理された流れで読むことができます。
総合(4)★★★★
特に、20代半ばなど、若くして部下を持つことになった人におすすめです。
マネジメント手法がまだ柔軟なうちに、
一般的にはどんな手法が有効なのかを知っておくことは価値があります。
プレイヤーとして優れていても指導法が劣っていると、
下からの評価は最悪なものになります。
そうならないためにも、エースの級の若手なら絶対読んでおいた方がいい一冊です。