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プレゼン本で挫折してきた諸兄に朗報です。
けっこういいムックが出ました。定価2200円と高額ですが買いです。
まず表紙をご覧ください。(画像参照)
そう、日経ビジネスアソシエで連載していた小室淑恵さんのプレゼン講座のムックです。
英会話と同じで、プレゼン本が長続きしない方、
けっこういらっしゃるんじゃないでしょうか。
実際私自身、書いてあるナレッジが細かすぎて
読んでいる途中で飽きてしまったり、
プレゼンというより話し方のナレッジに終始しているため
まったく読み返す内容のない本を選んでしまったり、
この分野では散々です。
なぜこんな本が出来上がってしまうのか?
それは多くのプレゼン本の著者が、"実際のプレゼン"とは無縁の立場だからだと言えます。
学者の先生やコンサルタントの方が書くと、
どうしても"講演"か"会議"のテクの解説になってきます。
でも私たちが欲しているのは、"実際のプレゼン"のナレッジです。
それは一体誰が持っているのか!?
監修者の小室さんは、
現在こそコンサルタント色が強い活動をされていますが、
元は資生堂の営業職です。
営業には1つの契約を取るために必死になるマインドが要求されます。
これこそが、
私たちにとって必要な"実際のプレゼン"のナレッジを生み出すように思われます。
ムックというと軽い感じがしますが、中身は骨太な1冊です。
まずは立ち読みのポイントから一緒に見ていきましょう。
──────────────────────────────────────
■本書の構成
基礎編
STEP1:顧客にとっての課題と提案の見つけ方
STEP2:資料づくり(プレゼンの構成)
実践編
STEP1:テクニック・時間配分、小室さんのお手本プレゼン
STEP2:資料準備・本番までの過ごし方のポイント
ケース編
CASE1〜5:雑誌連載時の受講生のプレゼン事例
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■立ち読みのポイント
⇒34〜43ページ【 プレゼンの構成(起・承・転・結) 】
構成の組み立て方について、本書の内容を抜粋してみました。
まずはざっと目を通してみてください。
◇プレゼンの構成
起:課題と危機感の共有
情報提供…基礎知識・業界事情
課題提示…将来的な課題・未知の課題
承:課題の背景の分析、固定観念の払拭
裏づけとなるデータの提示
転:課題を解決する提案
商品・付加価値の提示
導入事例の紹介
結:相手に行動を促す
競合比較表の提示
複数プランの提示/段階的プランの提示
起承転結や三段論法は類書でよく見かけますが、
お気づきの通り、
本書ではマーケティング上の目的を明らかにしています。
順番もこの並べ方だから相手を説得できる
というものになっています。
このフォーマットがあれば、
ある程度説得力のあるプレゼンが努力次第で可能です。
----------------------------------------------------------------------------
⇒80〜81ページ【 付加価値を考える時の切り口 】
商品やサービスの付加価値(成果)を話すとき、
どうしても定性的な情報に頼りがちです。
相手を会社ごと説得するには、定量的な情報も必要。
でも自分文系出身だしそういうの苦手なんですよ〜
という私みたいな方、本書では以下の切り口を紹介しています。
◇差別化をもたらす付加価値の切り口
・費用対効果
・手間対効果
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⇒46・55ページ【 想いを語ることの大切さ 】
「成功しちゃう人脈はじつは公私混同ばかり」という人脈本のエントリーの時に、
夢を語れる人間は最強と書きました。(周りが協力したくなるから)
やりすぎは禁物ですが、プレゼンでも同じことが言えます。
本書では、出だしのつかみで自己紹介と共に
プレゼンに対する個人的動機を述べることを推奨しています。
その効果は次の通りです。
◇想いを語るメリット
・熱意、人間性を上乗せできる
・セールス色を消すのに有効
本来、「想い」は純粋にそう願っているという前提で、
それを語ることで、プレゼンター本人の魅力をアップさせたり、
共通のテーマによって相手とつながることができたり、
副次的な効果を得ることができるそうです。
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⇒87・96ページ【 なぜ自信が持てなくなるのか 】
本書のコラムで、プレゼン講座の受講生へ
小室さんからこんなメッセージが発せられています。(一部省略&意訳)
「スピーチで改善すべき点は、顔が下を向いていたこと。
気持ちはわかるけど、実は緊張で原稿を読む余裕はない。
つまり、自信がないから下を見る。」
なるほど。本書に出てくる
「自信がないことでプレゼンのレベルが下がる状態」をまとめると以下のようになります。
◇自信がなくて損をすること
・語尾のはぎれが悪くなる
・顔が下を向く
⇒説得力がなくなる
…かなり損をしますね。
これに対して、「どうしたら自信を持つことができるのか」
についても言及があります。
小室さんが会社を設立された当時、
ワークライフバランスの概念はまだ馴染みが薄く、
普及させるのに手間取ったそうです。
本書では相手を説得させるだけの
「キラーデータ」を収集するよう指示がありますが、
小室さん自身も、この時、必死で海外の事例やネット上のデータ、
アンケート・グルインなどからデータを集めたというくだりが紹介されています。
そうすることで自身の提案内容に自信を深め、
プレゼンの力がつくようになったわけですね。
自分で調べたという実感や苦労して集めた時の行動量が
こういうところでものをいうことを考えると、苦労は身になることがよくわかります。
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それでは5点満点での評価です。
タイトル(2)★★
表紙の小室さんがアイキャッチなので、
書店では棚挿しになっていると死にますね…
でも、販売期間が短いムックという形態と
基本的にアソシエ読者に告知されていることを考えるとこれでいいのかもしれません。
ナレッジ・スキーム(4)★★★★
話の骨格となる構成の理解から
資料の作成といったテクニック面まで解説があります。
さらに、お手本プレゼンや事例が付いていて
公式を復習しながら理解を深めることができます。
死角はないですね。値が張るくらいです。
総合(4)★★★★
余談ですが、小室さん本当にキレイな方で。
本の内容がしっかりしているので
あまり外貌のことを持ち出すべきではないのですが、
間違いなく本の内容を引き立てる要素になっています
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